ブロックチェーンのスケーラビリティ問題とは?主流な解決方法を解説
ブロックチェーンとスケーラビリティ(スケーリング)問題とは?
ブロックチェーンのスケーラビリティ問題について以下の点から解説していきます。
- ブロックチェーンとスケーラビリティ問題の概要
- ブロックチェーンとスケーラビリティ問題の弊害
- スケーラビリティ問題を抱える主要なブロックチェーン
ブロックチェーンのスケーラビリティの大枠を掴んでいきましょう。
ブロックチェーンとスケーラビリティ問題の概要
ブロックチェーンのスケーラビリティ(スケーリング)問題とは、ブロックチェーンの処理性能や拡張性が芳しくない現象に対して用いられる言葉です。
ブロックチェーンでは、ブロックにトランザクション(取引)をまとめて、ブロックを過去のブロックと結合することで、過去の取引をまとめています。
しかし、ブロックに書き込める容量やブロックの生成スピード、合意するまでのプロセスの簡略化などには上限があります。
上記は、ブロックチェーンが処理できるトランザクションの数にも限界があるということです。
そのため、仮想通貨の流行などで、ブロックチェーンが処理するトランザクションが多くなると、スケーラビリティ問題が発生しがちです。
ブロックチェーンとスケーラビリティ問題の弊害
ブロックチェーンのスケーラビリティ問題がもたらす代表的な弊害は、処理の遅延と手数料の高騰化です。
一般的なブロックチェーンには、トランザクションが処理されるまで待機しておくメモプールという空間が存在しています。
処理するトランザクションが増えてくると、メモプールにトランザクションが大量に留められ、処理されないといった問題が発生しがちです。
また、ブロックチェーンではトランザクションを通す際に、手数料(ガス代)を設定します。
ブロックチェーンでトランザクションを処理するバリデーター・マイナーといった主体は、経済的なインセンティブによって動いているので、手数料が多いものから処理されます。
そのため、スケーラビリティ問題が発生すると手数料が高騰しやすくなり、通常の送金であっても数千円〜といった手数料が必要になるケースがあるのです。
スケーラビリティ問題を抱える主要なブロックチェーン
スケーラビリティ問題を抱える代表的なブロックチェーンは、ビットコイン・イーサリアムといった仮想通貨です。
両者とも比較的古いプロジェクトで、開発当初はスケーラビリティに関する技術が整っていませんでした。
また、両者とも古いプロジェクトでありながら、時価総額TOP1・TOP2であり、非常に人気の高い仮想通貨です。
そのため、ビットコインやイーサリアムで発生するトランザクションが、ブロックチェーンが持つ処理速度・スケーラビリティと比較して膨大になりがちです。
その一方で、スケーラビリティが低いということは、良い面もあります。
特に、ビットコインについては高いセキュリティ・分散性に定評があり、これはスケーラビリティを犠牲にしていることで、得られている恩恵の1つです。
各プロジェクトのスケーラビリティ問題に対する主要な技術
ブロックチェーンの主要な課題として、スケーラビリティ問題が存在している一方で、その対策・解決策となる技術も出てきています。
これから、以下のポイントから現在主流になりつつあるスケーラビリティ問題に対する対策・技術について解説していきます。
- L1ブロックチェーン自体の底上げ
- ロールアップやサイドチェーン
- アプリ単体やセクターごとのブロックチェーン
- モジュラー・要素ごとの組み合わせ
主流なスケーラビリティ問題に対する技術をチェックしていきましょう。
L1ブロックチェーン自体の底上げ
もっとも想像しやすいのは、L1(Layer 1)ブロックチェーン自体のスケーラビリティの向上です。
この手法では、トランザクションをまとめてブロックを生成するまでのプロセスに対して、工夫を加えます。
具体的には、ブロックに入れる容量を増やしたり、意図的にブロックを生成する主体を減らす・同意に必要な絶対数を減らすといったアプローチです。
上記のようなアプローチを取り入れることで、ブロックチェーンの処理速度・スケーラビリティ自体は向上させられます。
ただし、ブロックを生成する主体の分散性を犠牲にしていたり、安定性やセキュリティを損なっているケースもあります。
この技術・対策を使っているのは、イーサリアムキラーと呼ばれがちで、スマートコントラクト対応の高性能ブロックチェーンといったものに見られることが多いです。
ロールアップやサイドチェーン
ロールアップやサイドチェーンといったL2と呼ばれるソリューションも、スケーラビリティに対する代表的な技術です。
ロールアップやサイドチェーンでは、ベースとなるL1ブロックチェーンとは別の場所でトランザクションを処理します。
何らかの形で処理した内容をL1ブロックチェーンに返すことで、L1ブロックチェーンの特性を引き継ぎながら、処理性能を向上させます。
特にロールアップは、L1ブロックチェーンのセキュリティを強力に引き継ぐことが可能です。
上記のような背景から、イーサリアムの今後のロードマップ・開発目標では、L2を中心に組み立てられています。
アプリ単体やセクターごとのブロックチェーン
アプリやセクターごとにブロックチェーンを構築することによって、スケーラビリティ問題を解決する動きもあります。
BCG・GameFiであれば、ゲーム会社やゲームタイトルごとにブロックチェーンが運用されるようなイメージです。
さまざまなブロックチェーンが運用されることにより、イーサリアムといった人気の単一チェーンにトランザクションが集中することを防止可能です。
また、用途やアプリごとにブロックチェーンを構築できるのでカスタマイズ性が高く、ニーズに合ったブロックチェーンを構築できるといったメリットもあります。
ただし、各ブロックチェーンごとにトランザクションを処理するバリデーターが必要です。
そのため、全てのチェーンがセキュリティに必要なバリデーターを用意するのは不可能という指摘もあります。
類似のアプローチを取る代表的なプロジェクトではCosmosが挙げられ、Cosmosではセキュリティを共有する技術などでデメリットを軽減しています。
モジュラー・要素ごとの組み合わせ
ブロックチェーンに必要な要素を分割し、用途ごとに組み合わせていくことで、スケーラビリティを解決しようとする動向も見られます。
ブロックチェーンに必要不可欠なのは、実行レイヤー・決済レイヤー・データの可用性とコンセンサスレイヤーといった構成要素です。
上記の構成要素を異なるプロジェクトが担い、部品のように組み立てていこうという動きをモジュラーブロックチェーンと言います。
例えば、BCGのようなプロジェクトでは、それほど高いセキュリティは必要ありませんが、できるだけ早い実行レイヤーが必要です。
そのため、実行レイヤーは速度を重視した上で、DA・コンセンサスレイヤーについては妥協した選択肢を取るといったアプローチが可能です。
このアプローチを取るプロジェクトとして、Celestiaなどが挙げられます。
ブロックチェーンとスケーラビリティ問題についてまとめ
この記事では、ブロックチェーンとスケーラビリティ問題について解説しました。
スケーラビリティ問題は、高いセキュリティを求められる仮想通貨について回る問題ですが、解決する技術は日々登場しています。
どのプロジェクトでもスケーラビリティに対するアプローチは取り入れているので、注視していきたいと言えるでしょう。
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