DID(分散型ID)とは?特徴や活用事例を解説

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DID(分散型ID)とは?特徴や活用事例を解説

DID(分散型ID)とは

DID(分散型ID)とは、中央集権組織(企業や政府)から完全に独立した個人管理のIDです。厳密には、DIDは「Decentralized Identifier」の略称で、分散型IDを実現するための識別子となります。

冒頭でも述べたとおり、現在は巨大テック企業を中心に社会が回っています。例えばGoogleが運営する「YouTube」や、Appleが提供する「IPhone」などが良い例です。

これらのサービスは世の中を圧倒的に便利にした一方で、ユーザーの個人情報を大量に保有していることが問題視されています。もちろん企業によっては個人情報の管理を徹底していますが、巨大なデータベースでの情報管理はハッキングのリスクが付きまとうのも事実です。

DID(分散型ID)は、このような問題を解決するために誕生した「自己主権型のID」です。ブロックチェーンによってデータが分散化されているため、特定の管理者が存在しません。

DID(分散型ID)のさらに詳しい特徴を、以下で見ていきましょう。

DID(分散型ID)がよくわかる3つの特徴

DID(分散型ID)の特徴は下記の3つです。

  • 情報漏えいのリスクが低い
  • データを改変できるのは本人のみ
  • 提供する情報を調整できる

それぞれ解説していきます。

情報漏えいのリスクが低い

中央集権型IDはデータを一元管理しているため、ハッカーが狙いを定めやすいです。一度データが盗まれると、芋づる式ですべてのデータがハッキングされてしまうリスクがあります。

一方、DID(分散型ID)は個人による独立したデータ管理なので、システム全体がハッキングされるような「単一障害点」はありません。ハッカーからすると「DID(分散型ID)をハッキングするのは効率が悪い」と考えるため、情報漏えいのリスクが圧倒的に低いです。

データを改変できるのは本人のみ

中央集権型IDはメールアドレスやパスワードでの管理が多く、ハッキングを受けやすいです。さらに管理元はいつでもデータにアクセスできるため、データの改変が可能となってしまいます。

しかし、DID(分散型ID)はブロックチェーン技術が使われているため、本人以外がデータを改変することは基本的にできません。データの管理も秘密鍵によって行うため、セキュリティが高いです。

提供する情報を調整できる

DID(分散型ID)の特徴として、提供情報の調整ができる点が挙げられます。

たとえば、仮想通貨取引所の本人確認(KYC)を行う際、今までは運転免許証やパスポートなどの中央集権型IDを提出してきました。しかし、DID(分散型ID)での本人確認が可能になると、必要な情報のみをユーザーが許可して与える流れになります。

つまり、与える情報を自分自身でコントロールできるので、プライバシー保護の観点から見て効果的と言えるでしょう。

DID(分散型ID)の活用事例

DID(分散型ID)はまだまだ開発段階の技術ですが、すでに試用実験が各地で行われています。

今回は2つの事例を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

慶應義塾大学での各種個人証明

慶應義塾大学はDID(分散型ID)を活用したデジタル学生証の試用実験を行っています。

具体的にはデジタル証明書をスマホと連携し、在籍証明や単位証明、オンライン授業の本人確認などを完結できる仕組みです。また、就職活動者に卒業見込証明書を発行したり、転入生の単位互換に利用したりすることもできます。

大学内だけにとどまらず企業や他大学との連携も目指しているため、相互運用性の高さが伺えるでしょう。

The Known Traveller|海外旅行の円滑化

The Known Travellerは、世界経済フォーラム(WEF)が開催する「ダボス会議」で取り組みが始まったプロジェクトです。

具体的には、海外旅行で必要なビザ申請や入出国審査、セキュリティ検査などの負担をDID(分散型ID)で軽減できます。さらに、ブロックチェーン技術によって不法入国者の取り締まりを強化できるのもメリットです。

海外旅行を円滑化することにより、旅行者・空港職員の両者にとって理想的な仕組みを実現できます。

DID(分散型ID)のまとめ

DID(分散型ID)のまとめは以下のとおりです。

  • DID(分散型ID)は自分自身で情報を管理する「自己主権型のID」
  • 情報漏えいやデータ改ざんのリスクを引き下げることができる
  • 提出する情報を自分自身でコントロールできる

DID(分散型ID)の開発はまだまだ初期段階ですが、試用実験はすでに世界各地で始まっています。社会全体に普及すれば個人情報の管理・確認が容易になるので、さらなる実用化に期待しましょう。

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