2025-09-27 ロシア企業、暗号資産で制裁網を突破か|80億ドルの送金跡
ブロックチェーン分析企業のエリプティック(Elliptic)社はロシアの国家関連団体に繋がる暗号資産ウォレットのネットワークが、西側諸国の経済制裁を回避するために80億ドル以上を移動させていたと発表しました。
この調査は制裁対象のロシア企業が国際貿易の維持にステーブルコイン、特にテザー(USDT)をいかに利用していたかを示す漏洩データに基づいています。
エリプティック社はこれらの取引の多くがモルドバの逃亡者で親ロシア派のイラン・ショール(Ilan Shor)氏が管理する企業に関連していると突き止めました。米国から制裁を受けているショール氏は国際的な銀行システムから排除されたロシア関連団体のためにデジタル資産を金融的な生命線として利用していたとされています。同氏の企業A7に関連するウォレットは、過去18ヶ月間で80億ドル以上のステーブルコイン流入を受けていたことが確認されました。
A7はロシア企業による制裁回避と国際決済を支援する目的で2024年に設立され、ロシアの防衛部門にサービスを提供する国有銀行プロムスビャジバンク(Promsvyazbank / PSB)が株式の49%を所有しています。
漏洩した内部メッセージからはA7が決済業務においてUSDTに大きく依存していたことが明らかになっています。しかし、今年初めにロシアの取引所ガランテックス(Garantex)が閉鎖されテザー社が関連するUSDTを凍結したことで、USDTへの依存はリスクとなりました。
この事態を受けショール氏のネットワークは2025年8月にウォレットのインフラを刷新したと報告されています。テザー社の中央集権的な管理を回避するため、独自のルーブル連動型ステーブルコインA7A5の利用を開始しました。しかし、この新たなデジタル資産の供給量は約4億9600万ドルに留まっており、これまでのところ大きな進展は見られていません。
情報ソース:elliptic