仮想通貨NEAR Protocol(NEAR)とは?特徴や今後の見通し・将来性を徹底解説
- 3行要約
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・NEARは超高速・低コストの次世代ブロックチェーン
・AI関連企業やNVIDIAとの連携で今後のWeb3・AIインフラの中心候補
・すでにSBI、Google、Metaが導入。将来性は十分に期待
NEAR Protocol(NEAR)とは?
以下、NEARの概要です。
ティッカーシンボル | NEAR |
承認アルゴリズム | TPoS |
時価総額 | 3,810億円(2025年7月2日現在) |
時価総額ランキング | 34位(2025年7月2日現在) |
最大供給量 | 12.5億NEAR |
発行 | 2018年 |
ホワイトペーパー | https://www.near.org/ |
NEARの承認アルゴリズム「TPoS」はPoSの一種ですが、PoSの「多く持つ人ほど権限が強い」という課題を解消しています。
TPoSはすごいざっくりと言えば「たくさんコインを持ってる人だけが偉くなるのは不公平なので、それを解消した仕組みです」です。
NEARの特徴
NEARの特徴には、従来の暗号資産で発生している問題を解決したいという意識が現れています。
超高速処理|最大10万TPSのシャーディング
NEARは「シャーディング」という技術により、1秒間に最大10万取引を処理できると言われています。道路の車線が増えるようなイメージで、より高速な通信速度を目指しています。
ビットコイン(BTC)が約7件、処理速度を重視したリップル(XRP)でも1,500件であることを踏まえると、圧倒的な速度といえるでしょう。
シャーディング自体はほかの暗号資産でも使われていますが、NEARではシャーディングを応用したNightshadeという方式を実装することで、従来のシャーディングよりもさらに速い処理を実現しました。
カーボンニュートラル|環境負荷が圧倒的に低い
ビットコインのマイニング方式「PoW」は莫大な電力が必要とされ、その環境負荷が問題となっています。
一方、NEARが採用しているPoSはPoWに比べ、必要電力が少なくて済むというメリットがあります。
これらのNEARの取り組みは第三者認証機関からも評価されており、気候変動コンサルを行うSouth Pole Groupから「Climate Neutral Product Label」認証を取得しています。
「マイニング」とはビットコインを獲得するために、PCで膨大な計算式を解くことを言いますが、この時に発生するPC熱で地球温暖化につながる可能性があるんです!
一方のNEARは電力発生が少なく、物理的な意味でエコということです。
人間に優しい設計|わかりやすいウォレットID
NEARの特徴のひとつが、「taro.near」や「mediverse.near」のように、人間が読めるウォレットIDを使えることです。一般的なブロックチェーンの「0x〜」で始まる長い文字列とは違い、直感的で覚えやすいのが大きなメリットです。
たとえば送金時も、相手のIDを目視で確認できるので、初心者さんが暗号資産を扱う際の安心感はかなり大きいでしょう。
また、アカウントの作成もメールアドレス感覚。ウォレットアプリを立ち上げて、好きなIDを決めるだけで簡単に始めることができます。暗号資産の世界の「難しそう」というイメージを大きく変える設計です。
暗号資産を保有しておく口座にはそれぞれウォレットアドレスという長い文字列が付与されます。
例)0xDead@beef▽Dead@beef▽Dead@beef▽1234
これを(yoshida.near)など、自分で設定ができるというシステムです。見間違いにより、誤送金する可能性が下がるという仕組みになっています。
とはいえ、実際には長いウォレットアドレスは宛先ミス防止のためにコピペすることが多いです。
結局秘密鍵(2層目のパスワード)が流出しなければ問題ないので、セキュリティにはそこまで影響しません。
開発者に人気|簡単にDappsが構築可能
NEARは、開発者にとって非常に扱いやすいブロックチェーンです。最大の理由は、RustやJavaScriptといった一般的なプログラミング言語でDapps(分散型アプリケーション)が開発できることです。Solidity(イーサリアム専用言語)のような特殊なスキルが不要で、Web開発者でもすぐに参入しやすい環境が整っています。
さらに現在、NEARはEVM(イーサリアムチェーン)互換の拡張も進行中です。これはEthereum上で動くアプリやスマートコントラクトが、NEAR上でも簡単に動かせるようになる仕組みです。
EVM互換が進めば、既存の膨大なEthereumの開発資産をNEARにそのまま持ってこれるため、エコシステムの拡大が一気に加速します。
加えて、NEARは開発者支援にも積極的。ドキュメントの充実度や開発者コミュニティの活発さは業界トップクラスで、資金援助プログラム(グラント)も用意されています。初心者から上級者まで、幅広い開発者が安心してプロジェクトを構築できる環境が整っています。
一般的なプログラミング言語で開発が可能なため、人が集まりやすい特徴があります。
NEARの価格動向とチャート
以下は、2020年4月22日のローンチから現在に至るまでのチャートです。
https://coinmarketcap.com/ja/currencies/near-protocol/より引用
過去最高値となったのは2022年4月20日の2,254円であり、そこから一気に下落してまた立て直し、2025年7月2日現在では309.29円となっています。
この高騰と下落には様々な要因があると考えています。今から考えると、NEARは運が悪かったとしか言えない側面もあります。
高騰理由考察
この急騰の最大の理由は、2022年4月6日に発表された3億5000万ドル(約450億円)規模のシリーズC資金調達です。出資者には世界トップのベンチャーキャピタルa16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)、Tiger Global、FTX Venturesなどが名を連ね、「NEARは次世代のイーサリアムキラー」として強烈な注目を浴びました。
さらに同時期、NEARはNVIDIAとの提携強化を発表。NVIDIAが推進するAIとWeb3の融合戦略「Omniverse」関連の一環として、NEARの高速・低コストなブロックチェーンがAIや仮想空間のインフラとして採用される可能性が高まったことで、Web3+AI領域での成長期待が爆発的に高まりました。
加えて、独自のステーブルコイン「USN」ローンチ計画も好材料に。DeFi領域でのシェア拡大が期待され、「NEARエコシステム」の急拡大への期待が強まりました。
また、EVM互換のAuroraの成長も拍車をかけ、Ethereum系資産がNEAR上で容易に使えることが注目され、資金流入が続きました。
下落理由考察
ところが、2022年5月以降、NEARは大幅な下落トレンドに突入します。
まず大きな背景として、世界経済全体がリスク回避の流れに入っていたことが挙げられます。アメリカの中央銀行FRBがインフレ抑制のために金利を引き上げ続け、世界中で株式や仮想通貨などのリスクの高い資産を現金へと戻す流れが強まりました。NEARもその流れに巻き込まれました。
さらに追い打ちをかけたのが、2022年5月7日に起きたTerra(LUNA)とそのステーブルコインUSTの崩壊です。これにより、NEARが開発を進めていたステーブルコイン「USN」への市場の信頼も一気に失われました。
そして2022年10月、NEAR財団は正式にUSNの担保不足(約4,000万ドル)を公表。これに伴い、USNの運用終了と保有者へのUSDTでの返金プログラムが発表されました。NEAR財団はユーザー保護に動いたが、USNの設計自体*は市場からは失敗と見なされています。
*1USN=1ドルと等価値であるはずが、その価値が崩れて信用がなくなった出来事
さらに最悪のタイミングで、仮想通貨市場に激震が走ります。2022年11月、世界最大級の暗号資産取引所FTXが破綻。これがとどめとなり、暗号資産市場全体が一気に冷え込み、NEARも深刻な下落トレンドに直面することになりました。
BBC.comより引用
一方で、NVIDIAをはじめとするAI関連企業との提携期待は当時も残り続けていました。ただし、AIブームの本格的な到来は2023年以降。2022年当時は世界的な金利上昇と景気後退の影響が大きく、株式市場を含むリスク資産全体が大幅な調整局面にあったことは否めません。
結果、2022年末には過去最高値から約93%減の170円台まで暴落するに至りました。
USN事件とFRBによる金利の引き上げ、FTXの破綻というフルコンボをもろに食らった結果、現在まで大きな高騰は起こっていません。
しかし、米国内時価総額3位のNVIDIAと提携し、AI学習の基盤となりうることを考えると、まだ再浮上する可能性はありそうです。
NEARの将来性
とはいえ、まだNEARの開発は継続しており、今後の成長が見込まれています。名だたる大企業が名を連ねていることは先述の通りですが、それ以外にもWEB3業界全体の成長も関係しています。
Web3プロジェクトの増加
NEARは現在も開発者支援や新規プロジェクトの誘致を積極的に行っており、実際にDeFi(分散型金融)、NFTマーケット、Move to Earn、GameFi(ブロックチェーンゲーム)といったWeb3分野のプロジェクトが多く構築されています。
また、他のチェーンと比べて取引速度が圧倒的に速く、手数料が非常に安いことです。さらにEVM互換のAuroraがあることで、Ethereum上の資産やアプリケーションをNEAR上でも簡単に利用できる環境が整っています。
加えて、NVIDIAをはじめとするAI企業との提携が進んでおり、今後はAIとWeb3を組み合わせた次世代アプリケーションの展開が期待されています。特にAIの分散処理やコスト削減といった領域で、NEARの高速・低コストなブロックチェーンは有力な選択肢となりつつあります。
大手VC・パートナー企業の強力なバックアップ
NEARが他のブロックチェーンと明確に違うのは、世界トップクラスの企業やVCが本気で支援しているという点です。
出資には、シリコンバレーの超有名ベンチャーキャピタルa16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)や、世界的な投資ファンドTiger Globalが参加。これは単なる一過性のブームではなく、長期目線でNEARの将来性に期待している証拠ともいえます。
さらに提携企業の顔ぶれも超強力。
- Google Cloud:NEARのノード運用やWeb3インフラの提供パートナー
- Amazon AWS:クラウドインフラ支援
- NVIDIA:AI×Web3領域の共同開発・Omniverseとの連携強化
こうした超一流企業とのタッグは、NEARが単なる仮想通貨プロジェクトではなく、次世代のWebインフラを担う存在として注目されていることを示しています。
今後AIとWeb3の融合が進めば進むほど、NEARの需要と存在感はさらに高まっていくとする見方もあります。
とはいえ、大企業と提携したからと言えど、必ずしも高騰するわけではありません。事実NEARがGoogleと提携を発表した2022年10月5日以降も下降が止まりませんでした。
投資判断の際には、世界的企業からの評価に加えて、社会的な金融情勢の把握もセットで行ってください。
https://coinmarketcap.com/ja/currencies/near-protocolより引用
AI × Web3|NEARが担う次世代インフラ
近年、AI市場はとんでもない勢いで成長しています。市場調査会社Nova One Advisorによると、2022年のAI市場規模は約4,542億ドル(約65兆円)なのに対して、2032年には約2兆6,083億ドル(約375兆円)に達すると予測されています。
https://www.novaoneadvisor.com/report/artificial-intelligence-marketより引用
この爆発的なAI市場の盛り上がりと並行して、NEAR Protocolも「AI×Web3」の次世代インフラとして注目が集まっています。
NEARはすでにNVIDIAなどの大手AI企業と提携し、分散型AIエージェントの開発支援にも積極的。NEAR財団は2,000万ドル規模の「AI Agent Fund」を設立し、AIとブロックチェーンの融合に本格的に乗り出しています。
また、NEARの特徴である超高速・低コストな処理能力は、AIアプリケーションの分散処理にも非常に相性が良いです。実際にNEARはAI向けの開発ツールやSDK、プライバシー保護型の環境も提供しており、AI領域の需要が高まるほど、NEARのインフラとしての価値も比例して上がっていく構造になっています。
AI市場の拡大とともに、「Web3のAIインフラ」としてNEARがさらに注目され、再評価される可能性は十分にあると言えるでしょう。
NEARの買い方
暗号資産NEARは国内取引所と海外取引所、いずれも購入が可能です。
国内取引所
国内取引所でNEARの取り扱いがあるのはSBI VCトレードとCoinTradeの2か所です。我々Mediverse(メディバース)チームではSBI VCトレードを推奨しています。
SBIグループはネット金融最大手であり、Web3や暗号資産領域では国内の金融企業の中で最前線にいるため、我々もSBI VCトレードにはお世話になっております!
- 想定年利10%以上の仮想通貨運用
- 各種手数料が無料
- 500円から仮想通貨を買える
- SBIグループの運営で安心感◎
海外取引所
海外取引所では、大手では取り扱いがある所が多いようです。
・Binance
・Bybit
・MEXC
・Gate.io
・KuCoin
など、有名どころにはすべて上場しています。既に登録している取引所で購入が可能です。海外取引所の口座をまだ開設していない場合は、Bybitがおすすめです。詳細な理由は以下の記事をご覧ください。
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まとめ
NEAR Protocolは、シャーディングという分散処理技術を活用することで、理論上は最大10万TPS(1秒あたり10万件の取引)という高い処理性能を実現することを目指している次世代型ブロックチェーンです。加えて、人間が読みやすいウォレットIDの導入や、一般的なプログラミング言語で開発できる環境を整備するなど、ユーザーと開発者の双方にとって扱いやすい設計が特徴です。
一方で、過去には独自ステーブルコインUSNの設計ミスや、FTX破綻など外部環境の影響を受け、価格の大幅下落を経験しています。こうしたリスク要因があることも事実です。
それでも、NEARは現在もNVIDIAやGoogleといった世界的なテクノロジー企業と提携し、AIとWeb3の融合という成長領域に積極的に取り組んでいます。今後のWeb3市場やAI産業の拡大に伴い、NEARの需要が再び高まる可能性は十分にありますが、暗号資産特有のボラティリティやプロジェクトリスクを踏まえた冷静な判断が求められるでしょう。
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