仮想通貨は有価証券?米国の規制と相次ぐ提訴の関係
仮想通貨と有価証券の関係とは?有価証券の場合の問題
これから、有価証券の概要や、米国における管轄する当局、仮想通貨との関係について、以下のポイントから解説していきます。
- 有価証券の概要
- 米国の規制当局
- 仮想通貨が有価証券と扱われた場合の影響
仮想通貨と有価証券の大枠についてチェックしていきましょう。
有価証券の概要
有価証券とは、財産的な価値を持つ証券のことです。
一般的に取引されているものとしては株式、債権、投資信託などが挙げられます。
ただし、有価証券の範囲・判定や定義などは各国により若干の違いが見られる点に注意が必要です。
また、特に仮想通貨の場合は、同じ国であっても当局間で該当するか否か?の判断に違いが見られるケースも存在しています。
米国の規制当局
基本的に、各国には有価証券を扱っている当局が存在しています。
米国においては、SEC(Securities and Exchange Commission)が該当し、SECのS(Securities)は英語で有価証券を意味します。
そのため、仮想通貨の当局・規制関連のニュースでは「SEC」という名前を見かけるケースが多いです。
また、同じく米国関連のニュースでは「CFTC」という名前が登場することがありますが、こちらは商品を扱う機関です。
SECとCFTCは両者とも米国の政府機関ですが、扱う分野に違いがあるという点を押さえておきましょう。
仮想通貨が有価証券化した場合の影響
「仮想通貨が有価証券である」という議論は、仮に確定的になった場合さまざまな影響が考慮されるトピックです。
米国の場合はSECが主体となり、仮想通貨・関連企業への規制を行います。
そのため、準拠していない組織・仮想通貨については、米国で事業継続・取引が不可になる可能性があるのです。
SECと規制を巡ってニュースになった後、Coinbaseが海外展開を進めるといった動きも確認可能です。
上記のような流れから、これまで大きな影響力を持っていた米国が仮想通貨における影響力・リーダーシップを失う可能性も考えられます。
一方で、SECによる仮想通貨取引所や関連企業への提訴の事例が複数見られますが、決着が付いていないものが多い状態でもあります。
そのため、現時点で米国における仮想通貨と有価証券というトピックは、確定的なものではありません。
仮想通貨 = 有価証券なのか?その基準と根拠
これから、仮想通貨は有価証券なのか?というトピックについて、以下の点から解説していきます。
- BTCに対する風当たりは弱い
- 有価証券と判定されやすい仮想通貨は存在するか
有価証券の定義と、仮想通貨がそれに当たる可能性はどの程度あるのか?という点について、押さえておきましょう。
BTCに対する風当たりは弱い
前提として、全ての仮想通貨が有価証券とみなされる可能性は低いです。
あくまで、有価証券と認められる・定義に当てはまる仮想通貨が、有価証券とみなされる可能性が高い訳です。
というのも、仮想通貨には把握しきれないほどの種類が存在しており、各プロジェクトによって技術的な特性・開発・運営方法は異なります。
例えば、有価証券というトピックだけであれば、BTCに対する風当たりは弱いです。
「BTCは有価証券ではなく商品」とみなす動きは多いです。
例えば、CFTCはBTCをコモディティ(商品)であるとしました。
また、SECの委員長も一部の仮想通貨がHoweyテストの基準に満たず、有価証券ではない可能性を指摘し、その1つとしてBTCを挙げました。
有価証券と判定されやすい仮想通貨は存在するか
有価証券に当てはまるのか?という点を探るテストとして「Howeyテスト」がよく知られています。
Howeyテストとは、米国におけるW. J. Howey社に対する提訴の判例を参考にしたテストです。
リップル社への提訴など、このテストが何らかの主張の根拠になっているケースが複数見られます。
SEC委員長は「ほとんどの仮想通貨は有価証券である可能性が高い」とスピーチにて発言しています。
同じくSEC委員長は、PoSを採用するほぼ全ての仮想通貨が有価証券である可能性が高いとも発言している人物です。
代表的なイーサリアムを含め、多くの仮想通貨でPoSや類似するコンセンサスが採用されています。
このことから、米国内において、PoSを採用する仮想通貨が有価証券であると確定的になった場合、大きな影響を与える可能性が高いです。
日本の当局は?国によって異なる姿勢
国によって、有価証券を扱っている機関は異なっており、見解もさまざまです。
SECは米国の機関のため影響力から世界的に注目されますが、世界の見解を代表している訳ではありません。
例えば、SECは「XRPが有価証券である」としてリップル社に対して関連する提訴を行っており、裁判が行われています。
一方で、日本の金融庁は「リップルを仮想通貨とみなしている」とする内容を、海外メディアへの取材に答え報道されました。
また、リップルに出資を行うなど関係の深い国内企業のSBIホールディングスも「国内においては有価証券ではなく、取引には問題ない」という旨の見解を発表しています。
上記のように、リップルに関しては、米国のSECと日本の金融庁における見解は大きく異なっています。
似たような状況は他の事例でも見られ、世界各国で対応が異なっているためSECのみならず、主要国での動向には注視していきたい状況です。
仮想通貨と有価証券についてまとめ
この記事では、仮想通貨と有価証券をテーマにさまざまな観点から解説しました。
2023年は、SECの動向が非常に活発です。
米国における動向は仮想通貨の価格や環境、発展に大きく関わる可能性が高いため、引き続き注目していきましょう。
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