ステーブルコインとは?特徴と仕組み・銘柄を解説
ステーブルコインとは?安定的な価格を維持する仮想通貨
ステーブルコインとは、何らかの方法で「価格が安定するように設計された仮想通貨」のことです。
仮想通貨市場はボラティリティが大きく、安定的な運用が難しいです。
(ボラティリティが大きい = 価格変動が激しい)
上記のような課題を解決するために、価格が一定の水準で推移するような設計を行ったものが、ステーブルコインになります。
ステーブルコインの多くは、価格を連動させる資産に「米ドル」を設定しています。
実際に、2022年9月時点で、ステーブルコインのみの時価総額TOP5は、全て米ドルと価格が連動するものがランクインしている状態です。
価格が安定している特性上、仮想通貨の価格が下落している際に、ヘッジ(避難先)として利用されることが多いです。
また、DeFi(分散型金融)などのエコシステムでも、重要な位置づけとして機能していることが多く、ブロックチェーンで行われる経済活動の核となる存在になっています。
ステーブルコインの種類と仕組みを解説
ステーブルコインは、利用している担保によっていくつか種類が存在しており種類によって、価格を維持している仕組みが異なってきます。
そのため、これからステーブルコインの種類と仕組みについて、以下の3つから解説していきます。
- 法定通貨担保型
- 仮想通貨担保型
- 無担保型
種類と裏側の仕組みについてチェックしていきましょう。
米ドルなどで担保する法定通貨担保型
最も代表的なのが、法定通貨担保型のステーブルコインです。
その名のとおり、法定通貨を担保にするステーブルコインになっています。
その仕組みは非常に単純で、発行したステーブルコインを、価格を連動させている法定通貨と同じ価格で換金可能であれば(もしくは担保として保管すれば)、価格が担保されるというものです。
中央集権的な組織によって提供されていることが多く、ステーブルコインを提供している主体が担保や資産を管理しています。
これにより、透明性が低いといったデメリットが見られることが多いです。
ETHなどで担保する仮想通貨担保型
仮想通貨担保型では、ETHなどを担保として用いることで、価格の安定・連動させることを目指します。
ただし、法定通貨などと比較すると、どうしても担保の資産価値が不安定なため、供給(発行した通貨)に対して、担保率を数百%上乗せすることが多いです。
例えば、ステーブルコインを100万円分発行していると仮定しましょう。
上記のケースで、担保率が300%に設定されている場合は、最低でも300万円が担保として発行に伴い、蓄えられていることになります。
一方で、仮想通貨を用いて発行を行うため、中央集権的な管理主体である必要が無く、分散性の高い主体によって運用されることが多いです。
後述しますが、顕著な例がDAIであり、DAOが中心となって運用されつつあることが知られています。
(DAO = 分散型組織のこと。中心となって管理する人・組織が居なくとも、機能する組織を指します)
また、仮想通貨を用いるため、ステーブルコインの発行や償却(Burn)に伴う過程で、スマートコントラクトなどを実装可能です。
これにより、担保の種類や量などを利用者に可視化するといった透明性の高い設計をしやすい点が、特徴として挙げられます。
需要と供給で調整する無担保型
最後にご紹介するのが、無担保型です。
このタイプでは、独自のアルゴリズムによって調整する仕組みを導入しています。
具体的には「需要と供給」によって連動させたい資産に価格を近づけるという方式です。
この種類のステーブルコインでは、価格を連動させたい資産よりも価格が下落している場合は償却(Burn)を行います。
これにより、市場への供給量を減らし希少性を上げることで、価格を上昇させます。
一方で、連動させる資産よりも価格が上昇している場合は、新規発行することで、市場への供給を増やし希少性を低下させることで価格を低下させます。
具体的には、裁定取引(アービトラージ)など、投資家にインセンティブを設定することで、経済的な動機によって価格を調整しているものが多いです。
ただし、他の種類と比較して、明確な価値の源を持ちません。
これにより、価格が不安定であることが多いです。(需要と供給のみで価格を調整するため)
実際に、無担保型として2兆円を超える時価総額を持っていたTerraというプロジェクトのステーブルコインは、価格の崩壊が発生しました。
これにより、TerraのガバナンストークンであるLUNAへの信用も大きく下がり、1万円以上あった価格が1円未満まで一時急落しました。
こういった背景もあり、無担保型でも、なにかあったときのための準備金を積極的に用意するケースが多くなっています。
(LUNAも、支援団体などによって一定の準備金が用意されていましたが、ほとんど効果を発揮しませんでした)
種類ごとのステーブルコイン代表例を時価総額ランキングと共に解説
これから、種類ごとに代表的なステーブルコインを、時価総額ランキングと共に、以下からご紹介していきます。
- 法定通貨担保 USDT
- 仮想通貨担保型 DAI
- 無担保型 USDD
高いシェアを持つ各タイプのステーブルコインをチェックしていきましょう。
(時価総額のランキングは、2022年9月22日時点のものです。また、ステーブルコインに絞った時価総額であり、他の仮想通貨は含まれません)
USDT:時価総額1位
最も代表的なステーブルコインであり、法定通貨担保型にあたるのが「USDT」です。
米ドルと価格が連動しており、時価総額ランキング1位に位置し、その額は約10兆円にも達します。(約10兆円分のUSDTが発行・流通している)
USDTは、Tether Limited社によって開発・提供がスタートしました。
Tether Limited社は、USDT以外にも金と連動する通貨も発行しており、各通貨には対応する資産が担保されています。
DAI:時価総額4位
DAIは、米ドルと価格が連動する仮想通貨担保型のステーブルコインです。
時価総額ランキングは4位に位置しており、時価総額は約1兆円です。
DAIは、Maker DAOというDAOが中心になって運用しています。
ローンチ当初、開発・運用をリードしていた開発陣や創業者は、年々影響力を縮小しており、最終的には完全なDAOによって運用されることを目指しています。
また、DAIの発行・償却もスマートコントラクトによって制御されており、利用者はスマートコントラクトに対して担保を預けることで、DAIを発行可能です。
USDD:時価総額7位
USDDは、代表的なブロックチェーンの1つであるトロン(TRX)に構築されている無担保型のステーブルコインです。
時価総額ランキングは7位に位置し、約1,000億円ほどの規模になっています。
供給量などによって価格を調整するタイプのステーブルコインではあるものの、多額の担保も積極的に蓄えているステーブルコインになっています。
USDDの公式サイトによると、2022年9月時点で担保率が約297%となっているため、仮想通貨担保型と無担保型の中間に近いステーブルコインと言えるかもしれません。
ステーブルコインについてまとめ
この記事では、ステーブルコインについて解説しました。
ステーブルコインは、仮想通貨市場が下落気味であるときや、DeFiの利用などに伴って利用することが多いです。
しかし、種類によって価格を連動させる仕組みは異なっており、それによりリスクなども異なってきます。
種類によって異なる特徴を把握して、安全にステーブルコインが使えるようになっていきましょう。
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